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Vol.7 シンプリー・クリスマス

銀座十字屋で取り扱うCDの中から、スタッフが実際に聴いてみて、みなさまにおすすめしたいCDをレビュー形式でご紹介します。CDレビューの一覧はこちら
 

 


シンプリー・クリスマス

こういうアルバムを、「羊の皮を被った狼」という。通常のコンピレーション・アルバムは、年末の福袋よろしく玉石混合のゴッタ煮であり、お得感があるようでない。そろそろ一般人も福袋戦略のギミックを御見通しなので、大抵は華麗にスルーされる。かくいう自分も手に取るまでは、本作の「シンプリー・クリスマス」というタイトルの安直さに(御免)、正直触手が伸びずにいた。

だが、これが“袋の中身が見える福袋”で良かった~。CDのタスキのクレジット見て驚いた。中身が、「玄人好みの知る人ぞ知る達人たちが演奏するクリスマス」だったからだ。

近代フルートの泰斗ジャン=ピエール・ランパル、ピアノのラベック姉妹、フラメンコ・ギターの雄オットマー・リーバート、そしてハープ界からは、我らが篠崎史子女史とカトリン・フィンチが参加している。行間を、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ室内管弦楽団が埋めるといった構成。なんとも渋い、通向けのチョイスである。全然、シンプルではないじゃないか。むしろ、一曲ずつじっくりと聴きこんでしまう。思えば、クリスマスこそハープが最も似合う季節であり、暖炉(あればの話だが)の前で静かに一年の終わりを想いながら、ハープの音色にロッキングチェアを揺らすというクリスマス原理主義者の自分には、まさにうってつけのコンピである。まあ、実際には今年も後片付けしない友人たちが持ち込んだケンタッキー・フライド・チキンのパーティ・バーレルを囲み、ドラム肉の醜い争奪戦を繰り広げながら、コーラをガブ呑みして終わるとは思うが、正味の意味で本当のお宝CDだと思う。しかも、篠崎女史がかなり定番のメジャー曲「ホワイト・クリスマス」「アヴェ・マリア」「天なる神には」「オー・ホーリー・ナイト」等を託されている!一聴の価値あるクリスマス盤だ。


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