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Vol.18 おもいでの森/ストレス・フリー

銀座十字屋で取り扱うCDの中から、スタッフが実際に聴いてみて、みなさまにおすすめしたいCDをレビュー形式でご紹介します。CDレビューの一覧はこちら

CDレビュー:おもいでの森/ストレス・フリー
 たとえば、SEKAI NO OWARIのように自分たちの思い描くファンタジーの世界観へ、第三者を招き入れるのは容易ではない。手始めとしては、ビジュアルを工夫する。複雑な作業を経るよりも、具体的に自分たちは何を伝えようとしているのかが、一目瞭然に分かるからだ。しかし、招き入れたはいいが、伴う音楽に内容がないと、人はその世界から逃げ、単なる道化になってしまう。

 ストレス・フリーは、ハープとフルートの男女のデュオだ。かつてランパルとラスキーヌという名手コンビがいたが、ランパルがフルートでラスキーヌがハープ。だが、このコンビは逆で、小林秀吏がハープで矢島絵里子がフルートで、真逆である。そしてそれぞれハープ王子、フルート姫の別称がある。普段は、18世紀のロココ調を意識した宮廷衣装を身に着けている。だが彼らのCD第2作となる本作では、ジャケット写真で森の義賊ロビンフッドとマリアンの世界観を表した。そこですでに、本作は「私たちの好きな思い出の詰まった曲が溢れるノッティンガムのシャーウッドの森で、スコティッシュやアイリッシュの音楽、しばしば森を描くことがモチーフとなるジブリの音楽等を演じますよ」という表明がある。掴みは強引だが、明快で徹底しているところが潔い。ファーストアルバムは、一言でいえば懐メロ音楽だったが、それはユニットの可能性と広範を期し、定番を敢えて選びながらもハープ&フルートの典型にはハマらずにもがいた結果だったといえる。だが、今回は世界観を絞った上で、演奏力とテーマ設定によって訴求力が深化した。選曲もかなり踏み込んだもので、相当研究した跡が見て取れる。音楽形式がというのではなく、アイリッシュ系の風味はユニゾンとそれに付随した各楽器のバリエーション展開の妙にありという特性を巧みに消化し、それをコンビの特長へ昇華させた。これだけ渋い選曲であるにもかかわらず、演奏がこなれてきて快い。ティン・ホイッスルやアイリッシュフルートが森へ誘い、ハープの調べがゆりかごのように包み込む。どうやら確立した個性と世界観を、このデュオは身にまとったようだ。


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