イベントレポートある日の銀座十字屋
ホール主催イベント

ハープ・ファンタジー2 〜想い〜ヨセフ・モルナール師の情熱

 前回が満員で、観ることのできなかったという声が多く、前回のコンサートの再演という括りのなかで再起動したのが、本プロジェクトである。依然、今回も関心が高く、ハープを志す初心者から上級者まで幅広い支持を受けているようだ。というのも、日本にハープが伝播される黎明期に、ハープの真髄を伝え、発展に大きく寄与したヨセフ・モルナールの門下生が主宰するコンサートであり、そんな門下生たちもすでに弟子を抱える世代になっていて、病床にあるというモルナール師へオマージュを捧げるというテーマが、共感を呼んでいるのだろう。

ファンタジー1

 まさにハープ好きには堪らない曲、構成であるステージは、同門同士の顔合わせ・・・では終わらない、クオリティが高い演奏の場になっており、夢の実現=ハープ・ファンタジーという看板に偽りはない。モルナール師の薫陶とそれに応える門下生たちの情熱が、いかに濃密なものであったかが、演奏から窺い知れるコンサートであった。誤解を恐れずに云うならば、「ハープとは何たるか。それを端的にみせるには、このコンサートを観ればよい」とさえ思う。ハープの様々な表情、技術、愉しみが詰まっているからだ。

ファンタジー2

 一方、敢えて課題を見出す。モルナール師ゆかりの曲を演奏して、モルナールイズムの伝播というフェイズから、今後はもう1ステップ踏み込んでみてほしいと思う。懐古からだけでは、発展形は生まれない。直参の門下生は元より、そのまたお弟子さんたちにしても、習得したことを踏まえて、自分たちの音楽を奏でることをもって師への最大級の献辞とするシーンを観てみたい。それに応えてくれる力量のある演奏家ばかりだし、モルナールさんも結果それが一番嬉しいことだと思う。十字屋ホールが今後会場となることはないけれども、むしろ色々な会場で「ハープ・ファンタジー」が演奏されている状況が現出していれば、われわれがハープに託す夢・見えている景色は、今とはまるで違ったものになっているはずだ。