イベントレポートある日の銀座十字屋
ホール主催イベント

ミュージック・クルーズ2015 227

2015.5.31 十字屋ホール
 ステージには、ピアノとパーカッションのセット。むしろ華奢なイメージのある女性二人がステージに立つと、戸惑いが先行すると思う。先入観に毒された人ほど、音が見えてしまうから。これだけのセットで、何ができるのかと。227の魅力とは、それらの感情に対して、甘美な裏切りを重ねてくる見事なまでのギャップにある。

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 偶然同じだったという、ピアノの広田圭美(タマ)とパーカッションの山下由紀子(ユキ)の誕生日をそのままコンビ名にしているユニットだが、やはり二人を引き寄せたのは演奏のクオリティや絶妙の呼吸の相性などにも、結成理由はあったのだろう。生の演奏に身を委ねていると、最初はたった二人で繰り出す音の波状攻撃に驚かされるのだが、徐々に双方ともに饒舌で手数の多い演奏の狭間に227の個性と裏打ちされた構成美が見えてくると、それが今度は感心に変わり、やがてカバー曲の選択のセンスとか人懐っこいステージにほだされて、気が付くと独特な世界に巻き込まれる。まさに「羊の皮を被った狼」とは、こういうことを云う。

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 お互いの力を知っているから、委ねきっている部分。そして可能性も分かっているから、任せきる部分。227はこれらを全て算盤づくでやっているのに、嫌味がない。音楽好きという素性が音を通じて的確に伝わってくるので、聴き手にも共感が芽生えるからだろう。「ジュピター」「エリーゼのために」「ルパン3世のテーマ」「いつか夢の中で」・・・これらは、テーマこそ聴き慣れた曲ではあるが、それらはほんの誘い水で、実態はタマの饒舌なピアノや即興と作曲センスがあるからこそのアレンジと、カホーンをメイン・エンジンに積んだユキの機動力と想像力に溢れたカラフルな打音とで繰り広げられる227の主張をガッツリ聴かされる仕組みになっている。オマケに、オリジナル曲とカバー曲がサンドウィッチになっているので、彼女たちの魅力が効果的に刷り込まれることになる。たった二人ができる限界に挑むのではなく、二人だからこそやれる可能性を追っているだけに、見かけ以上に志が高く、その音楽は強靭である。街で見かけたら、ぜひライブを聴いてほしい・・・新たな才能とベテランによる新たな挑戦がテーマという「ミュージック・クルーズ」という今回コンサート・コンセプトに、まさに合致したユニットであった。