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コンサートレポート

【レポート】第506回 斎藤樹里さんによるハープ演奏

バロックからロマン派、そして現代へ


2016年8月17日のランチタイムコンサートは、斎藤樹里さんによるハープソロ演奏でした。斎藤さんは、現在、東京藝術大学大学院修士課程で研鑽を積み、昨年に行われた第27回日本ハープコンクールプロフェッショナル部門第2位を受賞された期待の若手ハーピストです。
銀座十字屋ランチタイムコンサートには、もう今年だけでも4回ご出演いただいており、毎回素晴らしい演奏を聴かせてくださいます。

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今回用意してくださったプログラムは、ハープに詳しい人にとってはもちろんのこと、ハープの演奏を聴くのが初めてという方にも楽しめる、実に魅力的なものでした。

まずは、バロック期ハープレパートリーの王道、G.F.ヘンデルの「ハープ協奏曲 変ロ長調」を。1楽章の主題は、TVで流れることも多く、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ハープの歴史において最初の“協奏曲”といわれているのがこの曲です。ランチタイムコンサートでも、よく1楽章だけの演奏はされることがありますが、今回は贅沢にも全楽章を演奏してくださいました。とても華やかで聴きやすい一方で、細かいパッセージなども多い技巧的なこの曲を、まるでいとも簡単そうに演奏する斎藤さんの姿が印象的でした。

次は、時代が飛び、19~20世紀のフランスの作曲家M.トゥルニエによる「ソナチネop.30 より 第1楽章」。冒頭のヘンデルの協奏曲とは打って変わり、和声的にもより複雑でより色彩豊かな曲です。同じ楽器・同じ奏者とは思えない透明感のある音色で奏でる斎藤さんの表現力の豊さに脱帽です。

最後に取り上げたのはさらに時代が飛び、いわゆる現代曲。幻〜2005〜 / スゥ は、2007年アメリカ国際ハープコンペティションの課題曲のこの曲は、楽曲の複雑さもさることながら特殊奏法が豊富で、耳からだけでなく視覚的にも楽しめる作品でした。一例としては、低音弦一体を叩く、ハープの響板・共鳴胴を叩く、象牙の棒で弦を叩くなど。観客もその大胆な演奏に驚いていましたが、曲が終了した時には、奏者に盛大な拍手が贈られました。

バロックからロマン派、そして現代。時代ごとの「ハープ音楽」の違いや、それぞれを聴く楽しさを存分に楽しめる30分間でした。



Program


ハープ協奏曲 変ロ長調 / G.F.ヘンデル(グランジャニー編)
1. Allegro moderato
2. Lento Cadenza
3. Allegro moderato

ソナチネop.30 より 第1楽章 / M.トゥルニエ

幻〜2005〜 / スゥ
1. Come here! Come here!
2. A soft, little, whispered love song
3. climbed to the edge and fell



斎藤 樹里 (ハープ)


juri_saito静岡県出身。第27回日本ハープコンクールプロフェッショナル部門第2位、第24回アドバンス部門第3位。第13回大阪国際音楽コンクールハープ部門アヴニール賞、第16回第2位。第18回静岡音楽館AOI主催「静岡の名手たち」オーディション弦楽部門に合格、併せてロダン賞を受賞。ハープを篠崎史子、松井久子、木村茉莉、故篠田淳の各師に師事。京都フランス音楽アカデミーにてI.モレッティ、ニース夏季国際音楽アカデミーにてE.セソンの各師のマスタークラス受講。静岡雙葉学園を経て、東京藝術大学卒業。現在同大学大学院修士課程1年在学中。




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