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サーシャ・ボルダチョフ×中村愛 スペシャル・トーク Vol.2
「サルヴィハープのサウンドについて」

サーシャ・ボルダチョフ×中村愛 スペシャル・トーク

日本とロシアの人気ハーピスト同士が、ついに初トーク・セッション。今回は、中村愛さんからハーピストならではの突っ込んだ質問を、来日したサーシャにぶつけてもらいました。

サルヴィハープのサウンドについて


中村 サルヴィハープのサウンドについてお聞きします。私は全体的に、ダークで深みがあるところが気にいっているのだけど。

サーシャ うーん、モデルによると思うけどね・・・

中村 そう?

サーシャ アポロ、ダイアナ、オーロラあたりの機種は、「学ぶ」という観点からはとても優れたモデルだと思う。何しろ、弾いたらその奏者が弾いた通りの音が出るから。別の言い方をすれば、素直な音作りが成されているように思うよ。

中村 ステージでは、また違う要素が必要だし・・・

サーシャ そう、レパートリーや状況によって左右されるからね。(さっき試弾した)アリアンナは、実に温かいサウンドが出るね。アポロやミネルヴァよりも、ずっと温かい音だ。

中村 では、他社のハープに比べてサルヴィはどうですか?

サーシャ 僕が使っているミネルヴァやイリスと、ライオン&ヒーリーあたりのハープを比較してみると、サルヴィの方がストレートでアグレッシブなサウンドになっている(笑)。その辺が愛さんが言うところのダークなフィーリングという表現に合致するかな。

中村 そうね。確かにモデルによってサウンドが違ってくる・・・

サーシャ 決め手は「コントロール」だと思う。ライオン&ヒーリーのハープが交響楽やアンサンブルの現場で多く使われている理由はよく分かる。一種、安定した音が出るからね。僕もいい楽器だと思うよ。一方でそういう場面での演奏上の役割は、ハープはあえて突出させる必要がないんだ。でも、僕や愛さんのようにハープのソロで演奏する場や独自の音で勝負したいというプレイヤーにとっては、本番で自分の加減で音をコントロールできる楽器でないと困るよね?安定感がある=コントロールではないんだ。必要なのは、自分が出したい音を自らの裁量で出せる、それがコントロールできるハープっていうこと。

中村 モデルによってサウンドが違う。選びぬけるというポイントも、サルヴィを使い続けている理由のひとつなのね。ありがとう。

{2017年9月 銀座十字屋にて、続く}


 

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